帰ってきたアルバイト探偵 講談社/解説 無
シリーズ第6弾。
バブル全盛期に建てられた、超高級会員制クラブ『港倶楽部21』の跡地から人骨が発見された。
骨は調査の結果、武器商人・サムソナイト・モーリスのものと断定された。
モーリスは、依頼された武器を渡す為に来日したと思われたが、7年前に行方不明になったまま消息不明となっていた。
そして、モーリスの骨が発見された事によって、モーリスが持ち込んだと武器を巡り様々な策略が繰り広げられる。
冴木親子は、内調の島津から7年前のモーリスの足どりと、武器の行方の調査を依頼依頼される。
前作の『拷問遊園地』から10年ぶりとなる冴木親子の復活である。
と言っても、私は去年このシリーズを読んだので、懐かしさはないのだが、かなり夢中になったシリーズなだけに、一度封印した作品の新作をまた読めるのはとても嬉しい。
ところで、このシリーズ最大の魅力はやはりリュウが高校生探偵というところだろう。
今回、10年ぶりの復活という事で、リュウの扱いがどうなるのかが多少心配だったのだが、それはリュウはそのままの年齢で、時代設定を現代に合わせるというやり方になったようだ。
作者のインタビューでもそのことに触れていたのを読んだが、実際作品を読んでみてこの設定は正解だなと思う。
軽めのハードボイルドとは言え、これまでも扱うネタはその当時の世相や情勢を反映したものだったので、そのまま10年前の続きでは、どうしても新鮮さが欠けていただろう。
ちなみに、今回はアメリカの同時多発テロを意識してか、モーリスの持ち込んだ武器として『核爆弾』を選んでいる。
そして、新しく生まれ変わった『アルバイト探偵』だが、他の設定等はそのままなので、リュウの恋人・康子は今では化石となった『元スケ番』という具合になっているのが少し笑える。
あと、ストーリーには関係ないが、作者の別のシリーズのある人物が名前だけ出てくる。
最後で、もしかして○○と冴木親子の競演か!?とも思ったのだが、残念ながらそれはなかった。
まぁ、逆にこのくらいのニアミスの方が、ツボ的にはいいところを突いているのだろう。
さて、肝心の内容の方は、最初の頃は人物関係が複雑な分、それを把握するのが少し大変かもしれない。
しかし、最後にはきっちりと理解できるように終結するので、それは心配無用といえる。
堺市の中心で?を叫ぶ