2010年11月26日金曜日

葛乃葉物語-1  恋しくば 尋ねきて見よ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉 堺市の中心で?を叫ぶ

大阪府和泉市葛ノ葉三・信太森葛葉稲荷社務所
「泉州信太森葛葉稲荷由緒」より引用いたしました。

今より千余年前、朱雀天皇の御頃
現在の大阪市阿倍野の里に安倍保名(安倍仲麻呂第7代の孫)という
美丈夫が住んでいました。父は元この一帯の豪族でありましたが
悪人の讒言にかかってその所領を没収せられました。
保名はなんとかして出世して家名を再興したいと思い
世に霊験あらたかと聞いていた信太森葛葉稲荷へ
日参する事にしました。

ある日念じ終わって帰途につこうとすると一本の流れ矢が飛んできて
傍らの杉の根元にフツと立ちました。
これは何事かと思う間もなく逃げ場を失った一匹の白狐が走り去り
保名の後ろに隠れ、救いを求める様子でした。
元来情け深く賢い保名はこれこそ大神の御命婦であると直感し
傍らの石を楯として後ろの草むらに白狐を隠し
自分はその石に腰をおろして静かに憩うている体を装うのでした。

折からドヤドヤと駆けて来た数人の狩人は
「我々は只今一匹の白狐をここに追い込んだが
貴殿は見なかったか。見ないとはいわさぬ」
と問い、かつ なじるのでしたが
保名は断固として突っぱねたので
狩人たちに叩かれ、秘術を尽くして闘ったが多勢に無勢で
数箇所に手疵を負い その場に倒れてしまいました。

狩人たちが他所に探しに立ち去った後、
御神木楠ノ樹の下から見るからに
神々しい1人の女が走り出て保名の疵に手を当てて
かいがいしく介抱しました。
保名は嬉し涙に暮れながら礼を言うと
「妾はこの森に住む葛乃葉と申すもの、
そなたを阿倍野まで送り届ける程に
一挺の山駕を雇うて来る」と言うので
保名は彼の女が名乗りもせぬのに我が住まいまで知っていることに
不審を抱きながらも唯夢うつつの如く駕に揺られて立帰るのでした

堺市の中心で?を叫ぶ