2010年11月25日木曜日

アルバイト探偵/拷問遊園地 ハードボイルドを軽く 大沢 在昌 堺市の中心で?を叫ぶ

アルバイト探偵/拷問遊園地  講談社文庫/解説 板垣亮平
シリーズ第5弾長編。
物語は、冴木親子が住むマンションが、オーナーである圭子ママの亡くなった旦那の借金のカタとして差し押さえられそうになる。
圭子ママに頼まれ、話し合いをする為冴木親子は銀座の画廊・幸本の元へ向かうが、当の幸本に借金をチャラにするかわりに、ある所へ出向いて品物を受け取って来て欲しいと依頼をされる。
依頼通り受け取った品物は、籠に入った赤ん坊だった。
とにかく依頼の品を幸本へ渡す為再び銀座へ向かうが、幸本は何処かに消えてしまっていた。
そして、消えた幸本を捜す為捜査を開始する隆は、二人の男に拉致されてしまう。
今回は、隆にとっては精神的にも肉体的にも、非常に辛い状況が続きます。
命のかけっぱなしです。どうせなら一気に息の根を止めて貰いたいと思ってしまうところですが、『拷問』だけあってジワジワと来るのが怖いです。
さすがは、『拷問遊園地』と言うだけあります。
実際こんな目にあったら怖いですね(無いけど)。
現代版の拷問オンパレードです。
次から次へと精神的ダメージを負い、男としての自信を喪失した隆に対しての涼介の台詞もかっこいいです。
シリーズ中で一番の親子愛を見れるのはこのシーンではないかと思います。
このシリーズは、最初の2冊までは気軽に読めるアクションコメディでしたが、次第にハードボイルド度が強まり、ストーリー自体も大掛かりで、どっぷりと裏の世界にはまったものに変わってしまいました。
作者曰く、このままでは隆は『新宿鮫』の鮫島と同じになってしまうと言う事で、この作品で『アルバイト探偵』は一旦の終了を迎えています。
最近、シリーズが復活したらしいですが、一体どんな事になっているのかかなり楽しみだったりします。

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