2010年12月4日土曜日

陰陽師 龍笛ノ巻 第5巻 夢枕獏 堺市の中心で?を叫ぶ

「怪蛇」

藤原鴨忠の家に仕えている小菊という女の太ももに妙なできものができる。
日が経つにつれて徐々に大きくなっていき、痛むようになってきた。
しかも通常の治療法ではどうにもならない。
そのうちに鴨忠の屋敷に奇妙な老人がやって来る。
老人の処方によって腫れ物はなくなるのだが、その方法はひどいものだった。

蛟( ミズチ )という水精の物語でした。
そして道満が登場します。
相変わらずグロテスクな技を用いるのが得意でした。
孔雀明王の真言もでてきたのですが、陰陽師では孔雀明王がよく登場しますね。

「首」

青音姫という女性が、為成と景清という男を試す( 弄ぶ? )ために首塚の石を取ってこさせようとする。
そのせいで首塚に封印されていた首が外に出ることになり、青音姫と景清は首にかじり殺されてしまった。
為成だけはなんとかその場を逃げ切ることに成功したのだが、不安で仕方がない。
そんなとき、宮中で為成の死相を見た賀茂保憲が為成に声をかけてしまう。
そのせいで保憲は為成から泣きつかれてしまうことになった。
面倒な仕事を背負い込みたくない保憲は、応急処置だけを施し、晴明の元に話を持って来る。

上に書いたように賀茂保憲が登場します。保憲は猫又をつれていました。
この物語での首のあさましさの描写はなかなか凄かったです。

「むしめづる姫」
平安時代に、むしに興味を示す貴族の姫露子。
眉も抜かず、お歯黒もせず、顔を隠すこともない、それこそ姿は、
なんて素敵にジャパネスクの瑠璃姫のようなお転婆ぶり。
今でいうところの生物学者のようで、植物に詳しく、虫にも詳しい。
その露子姫が、黒い虫を飼いだしたのだという。
その黒い虫は与えた葉をすぐに食べきり、
葉だけではなく、ネズミを食べたり、青大将を食べたりしながら
仔牛から牛程まで大きくなった。

そして、今晩、蛹になって孵る。
そのため、安倍晴明は源博雅と一緒に
露子姫の屋敷に向かうが…。

「呼ぶ声の」

藤原伊成は山で琵琶を弾いた日、家に帰ってから、ほとんど寝たきりとなってしまった。
起きだすときは庭に何者かがやってきているようで、庭に向かってなにやら意味不明のことを話している。
二日で驚くほどやせ衰えたため、家人が心配して、博雅を通して晴明に相談を持ちかけた。

「山込め」という、死後も体から魂が出なくなる法の物語でした。

「飛仙」

仙丹についての物語です。
天足丸という仙丹を使って空を飛ぶ仙人が、あるとき貴族の屋敷に仙丹の入った袋を落としてしまいます。
いろいろあって、天足丸はある娘に飲まれることになりました。
しかし、この天足丸は男用の薬で、女が飲むと大変なことになるのでした。

5編。


堺市の中心で?を叫ぶ