2010年12月13日月曜日

予知夢 東野圭吾 探偵ガリレオシリーズ第2弾

『予知夢』(よちむ)は、東野圭吾の推理小説。探偵ガリレオシリーズ第2弾。2000年に文藝春秋より刊行された推理短編小説集。
テレビドラマ『ガリレオ』の原作。

『探偵ガリレオ』に続く、物理学者湯川シリーズの第2作である。
この作品から、科学以外の知識や論理的思考によって解明する事件が登場する。
また、この作品では草薙をはじめとする捜査一課が湯川に信頼を寄せており、民間人がおおよそやらないであろう
被害現場での検証や容疑者宅の訪問など、警察と同じような行動を見せている。

天才物理学者・湯川学が、大学時代の友人である刑事・草薙俊平の依頼を受けて、一見超常現象とも取れる不可解な事件を科学によって解決していく。
また、シリーズ第2作以降は論理的な推理によって、解決するものもある。

第一章・夢想る(ゆめみる)

世田谷にあるとある屋敷に深夜、男が侵入。
異変を感じたこの家の母親が猟銃を発砲した。
男はその場から逃げたがその際、死亡ひき逃げ事故を起こし、警察に逮捕される。
取調べで男は犯行を認めたのだが、屋敷に侵入した理由について「この家に住む女性"モリサキレミ"と17年前から結ばれる運命にあった」と供述したのだ。
そして、この言葉を裏付けるように、小学校時代の文集などにはどれもこの女性の名前が書かれていた。
しかも、17年前には女性本人が生まれていなく、男とこの家には接点がなかった。
これは「予知夢」なのか、偶然の一致か。それとも…。
草薙は半ば縋るように湯川の元を訪ね、湯川も当日、男が受け取ったとされる招待状に興味を示し、捜査に協力する。
容疑者の家を訪ねた湯川はある絵を発見する。そして、この事件の裏にある因縁を推理していく。

森崎礼美(もりさき れみ)…16歳の女子高生で、「結ばれる運命にあった」女性。最近はひどく怯えていた。
坂木信彦……27歳。住居侵入ならびにひき逃げの容疑者。以前から礼美に付きまとっていた。
            小学生時代は自閉気味だった。絵を描くのが得意。
森崎由美子…礼美の母親で名付け親。侵入した坂木に発砲した人物でもある。その真意は礼美を守るほかに理由があった…。
森崎敏夫……礼美の父親で輸入販売業社長。事件当日は海外に出張中であった。坂木への怒りを隠しきれない。
中本…………坂木の小学校時代の同級生。坂木が「森崎礼美」の家に侵入したことに動揺している。

第二章・霊視る(みえる)

午前1時、マンションの一室で女性が扼殺されているのを同じ店で働く女性が発見した。
その際、現場から逃走した男の横顔を目撃し、警察に通報。ほどなく男は逮捕された。
男は犯行を認め、衝動的に相手の首を絞めたと供述する。

しかし、殺害されたのとほぼ同時刻、別の場所で被害者の姿が目撃されていた。
目撃した男性は被害者の恋人であり、事件当時、友人である容疑者の男の部屋で留守番をしていたが、
深夜に被害者が窓の外にいるのを見ていた。
被害者が容疑者を避けていることを知っていた男性は、この場所に来ることに胸騒ぎを覚え、
女性に電話をかけ、その後死体が発見された。
報告書がオカルトになると危惧した草薙は湯川の元を訪れ、湯川もまた、被害者の手首にあった傷に興味を持ち、捜査に協力する。
そして、部屋にあったある痕跡から、この事件が仕組まれたものであると推理する。

小杉浩一…スポーツフリーライターで今事件の容疑者。
          女と付き合うことができない男であったが、殺害した女性に惚れ、付き合おうと考えていた。
          しかし、実際に女性に近づいたのには別の理由がある。
長井清美……被害者。クラブ「Tatoo」のホステス。
           小杉に交際を迫られていることにうんざりしていた。
           写真を撮るのが趣味で、「幸運な写真」を撮っている。レモンイエローのスーツを着こなす。
 細谷忠夫…会社員。幽霊の目撃者。
           小杉の友人であり、密かに清美と付き合っていて、事件当日もデートをしていた。
           小杉に清美と付き合っていることを告げようと電話をした結果、留守番に付き合わされることになる。
山下恒彦……無職。小杉、細谷の友人。
            小杉からの頼みで留守番と猫の世話を頼まれていたが、退屈だったため、細谷を留守番に誘う。清美のことは知らない。
織田不二子…クラブ「Tatoo」のホステス。清美の友人で、死体の第一発見者。
金沢頼子……フレンド・スケートクラブのコーチ。スポーツの取材で小杉がよく出会っていた。
           登場は後半部分だが、事件の大きな鍵を握っている。

第三章・騒霊ぐ(さわぐ)

非番の日に草薙は姉・森下百合の依頼で、ある女性の話を聞くことになった。
百合の友人の妹というその女性の夫が5日前に行方不明になっているというのだ。
そして夫がよく行っていたという家の老婆も最近亡くなっていた。
警察として動くことが出来ず、そのときは曖昧な答えしか出来なかった草薙であったが、2週間後に再び女性から連絡があり、
不思議なことを聞く。女性は亡くなったという老婆の家を見張っていた。
家には現在この甥夫婦たちが暮らしているが、決まって夜8時になると家をでるという。
その晩、草薙はひそかに尾行するが、彼らは何をするでもなく家に戻ってきた。
しかし、その間に家の前にいた女性は血色を変えて「家の中から物音が聞こえる」と話す。
夫は監禁されているのか…。草薙たちはその翌日、同じ時刻に無許可でその家に入り込み、中の様子を探る。
すると、突然、部屋の中が激しく振動し始めたのだった。

取り乱した草薙は、この手の話題を嫌う湯川を訪ねる。
すると、湯川は「思っている以上に深刻なことになっている」とこの現象を分析した。

神崎俊之…行方不明になっている男性。
          健康機器メーカーのサービスエンジニアでメンテナンスのため、老人ホームを多く訪れている。
          八王子の老人ホームを出た後の行方がつかめていない。
神崎弥生…俊之の妻。夫の居場所を掴もうとするが、警察が取り合ってくれない為、無謀な事をする。
          早くから高野家に目をつけていて、草薙曰く、「論理的な勘」の持ち主。
高野ヒデ…故人。生前俊之には懇意にしてもらっていた。俊之の失踪した日に心臓麻痺を起こし亡くなっている。
          夫から受け継いだ多額の財産を持っている。
高野昌明…ヒデの甥。妻のほかにもう一組のカップルと暮らしている。無職。借金を抱えている。
近藤………高野夫婦と同居している男。ヒデには友達と言っていたが実は…。柔道二段。

第四章・絞殺る(しめる)

ホテルの一室で男性の死体が発見された。
死体には細い紐のような絞め痕があり、何者かが絞殺したとして捜査が始まる。
しかし、死体のあったベッドの横のカーペットが焦げていること、また、死体についていた紐の絞め痕に沿って
皮膚が擦り切れていることなど絞殺にしては不自然な点があると考えた草薙は、現場に湯川を呼ぶ。
事件当日、被害者は「以前貸した金を返してもらう」と言って、家を出ていた。
また、犯人のものと思われる飲みかけの缶コーヒーとタバコの吸殻があったが、その人物を特定することができなかった。
一方、この数ヶ月の間に多くの生命保険にかけられていたことから、警察は被害者の妻を取り調べる。
すると、被害者が死亡した時間帯のアリバイがないことがわかった。
さらに事件について調べるため、二人は被害者の工場を訪れ、ある物を見つける。

しかし、1週間後、被害者の妻がアリバイを主張し、完璧に証明される。
再び、その家を訪ねた草薙は被害者の娘から、「事件発生前日に火の玉を見た」事を聞く。
捜査は振り出しに戻るなか、事件の検証をしていた湯川から電話が入る。
草薙が火の玉の話をすると、「じつに面白い、すばらしい」と話すのであった。
そして翌日、第十三研究室で驚くべきトリックが展開される。

矢島忠昭…「ヤジマ工業」社長。かつては大人数を雇っていたが、業績の悪化で工場は瀕死の状態にあった。
          家族と従業員を救う為、命を賭けた計画を考えていた。
矢島貴子…忠昭の妻。二人三脚で工場を切り盛りして来た。
          夫の忠告を聞かず、買い物に出た為、容疑者として取り調べられることになる。
矢島秋穂…忠昭・貴子の娘。「火の玉」の目撃者。
坂井善之…「ヤジマ工業」社員で最古参。矢島夫婦の苦労をよく分かっている。通称「ヨシさん」。
鈴木和郎…「ヤジマ工業」若手社員。通称「カズ」。
田中次郎…「ヤジマ工業」若手社員。

第五章・予知る(しる)

マンションの一室で女が首を吊って死亡した。
向かいにはもう一つのマンションがあり、そこには女の不倫相手が住んでいた。
カーテンを開ければ部屋の中も見ることができる位置だ。
女は相手の男に電話をかけ、「奥さんと別れなければ覚悟がある」といい、
自分の部屋にあるパイプハンガーに紐がかけられているのを見せ、首を吊ったのだ。
不倫相手への当てつけの自殺、ということで事件は片付いたかに見えた。

しかし、捜査をしていた刑事が、不倫相手の男の隣の部屋に住んでいる女性から不思議な話を聞く。
女性の娘が事件2日前、同じ部屋で女性が首吊りをするのを見たことを話していたのだ。
少女が自殺を予知したのか…。同僚から話を聞いた草薙は強引に湯川を連れ、捜査に乗り出す。
少女の話では「2~3日前の夜中に目が覚めてカーテンを開けると、女性が首を吊るのを見て、気を失ってしまった。
しかし、その部屋の女性は翌日、ベランダで楽しそうに電話をしていた」ということだった。
そして、湯川は少女の話から、この自殺が「芝居」によるものだという仮説を立て、そのトリックを推理していく。

瀬戸富由子…自殺をした人物。広告代理店で働いていた。
            表向きはキャリアウーマンそのものだが、恋愛に関しては魔性の女になり、大胆な事をして来る。
            実は、不倫相手にも伝えていないある秘密を握っている。
菅原直樹……某企業の宣伝部所属。
            富由子の不倫相手で自殺を目撃した人物。妻との生活に飽きを感じたころに富由子と出会い、不倫関係になる。
菅原静子……直樹の妻。そつなく主婦業をこなしていたが、実は不倫に感づいている。そして、彼女もまた…。
峰村英和……直樹の大学の後輩で同じ会社に勤める。製品開発担当で、ER流体のエキスパート。
            出世は約束されたようなものだが、実は直樹が激昂しかねない秘密を抱えていた。しかも…。
飯塚朋子……菅原夫妻の隣に住む女性。しかし、話したりする等交流は殆ど無かった。
予知少女……本名不明。富由子の自殺を2日前に予知したという朋子の娘。生まれつき体が弱く、少しの事で発作を起こす。
            夢と現実をまぜこぜにして話す癖がある。

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